
「わきが」とは脇の下の有毛部に存在するアポクリン汗腺から分泌されるタンパク質が細菌等によって変性し臭いとなる病態です。
アポクリン汗腺からの分泌には個人差があり、その分泌量や質は遺伝子により決定します。ですから「わきが」は遺伝的な病因を持ち、また個人差も大きいものです。
「多汗症」とは、脇の下に限らず全ての皮膚に存在するエクリン汗腺の分泌過多によるものです。体質や肥満が原因とされていますが、特に脇の下では衣類のシミができやすい等コンプレックスを感じる方も多いようです。
特に日本人はわきがの遺伝子を持つ人が少ないため、他の民族のように「脇の臭いはあたりまえ」と割り切れないのです。ですから、日本では「わきが」という疾患が際立ってしまうと考えられるのです。
1)脇の下
2)乳輪まわり
3)陰毛発生部
4)外耳道
特に脇の下は臭いが出やすいため、古来から「脇が香る」という意味で「わきが」と呼ばれていたのです。この臭いの元となるアポクリン汗腺はすべての人に存在していますが、その分布量は遺伝子に左右されています。
単純なメンデルの遺伝ではなく、関係する遺伝子の数でその臭いの強さが規定されているといわれています。
ただし、どこまでが病的でどこからが正常という区分けは無く、あくまで患者さまご自身の希望で治療を進めるべきだと思います。
これに対しエクリン腺は、体表皮膚の至る所に存在しいています。本当の多汗症の方の場合は、掌から汗がしたたり落ちるとまでいわれています。一日中何枚ものタオルが必要でいつも顔やおでこを拭いている状態などと表現されます。
いわゆる「わきが」の方は多汗症も併発していることが多く、手術治療の際アポクリン汗腺のみならずエクリン汗腺も切除するようにします。
わきが・多汗症の手術の方法は多数あります。
その中でよく施術される方法は、次の4つ程度です。
1)剪除法
2)超音波メス法(ソノペット法 わき・すそ・乳輪)
3)吸引法
4)ボトックス注射法
【コラム】乳輪の臭いも治療ができる!

超音波メスでの乳輪部位のわきが治療の様子
『わきが』の人は濃いわきが遺伝子を持っているのです。そしてそれは、他の国では「あたりまえ」の事が多いのです。
遺伝子は忠実です。忠実であるがゆえ、医学の方程式にピッタリはまることがよくあります。つまり、『わきが』の臭いは脇の下に留まらず、乳輪に及ぶこともあるわけですね。
脇の下の部位に対するわきが手術法はよく耳にします。しかし、乳輪の部位に対するわきが治療法はあまり目にしません。
しかし、超音波メス法(ソノペット法)での手術はその部位を問いません。
乳輪の部位(乳輪わきが)でも、陰毛外側の部位(すそわきが)でも治療が可能です。
乳輪の部位では、その円周または半周に切開を入れそこから乳輪を含む、かなり大きな周囲で超音波メス(ソノペット)の先端を作用させることができます。
『わきが』は、わきが臭うだけではない事に気付いてしまった方も、まだあきらめる必要はありません。
【コラム】古典的わきが

わきがとは古典の世界でいう「脇香」から変化した言葉です。日本人は元々遺伝的にアポクリン汗腺が少ない民族です。したがって「脇が香る」人は今より少なかったと想像されます。それでも、古典にこのように「わきが」が表現されているところをみると、当時はむしろ貴重な存在だったのかもしれません。
さて、わきの臭いは、強さの差はあるものの誰にも存在します。いわゆる、わきがでない人でもアポクリン汗腺はゼロではないのです。
では、どこから「わきが」という疾患になるのか?
これは、古来より本人ではなく、他人が認証することなのでしょうね。これが「わきが」=「脇香」という言葉に良く表されていると思います。だって、「自分で脇が良いにおい・・」なんていう人はいないと思うのです。
「あなたの脇は香しい」と昔の人は思ったことなのでしょう。
次のページでは [わきが・多汗症の診断]をご紹介します


